山小屋暮らし
| 何を思ったというわけでもないが、6月から日本百名山にも数えられている道東の秀峰・斜里岳の山小屋「清岳荘」の管理 | ||
| 人を務めることになった。手を伸ばせば欲しいものが難なく手に入ったこれまでの暮らしにサヨウナラだ。電気のない生活な | ||
| んて考えたこともなかったが、う〜む、まさに黒板五郎的生活≠セぞこれは・・・。 | ||
| これまでの僕の人生を振り返ってみると、やはり山≠ヘ僕自身に大きな影響を与えている。20代前半から始めて、道内 | ||
| 外の山からヒマラヤの高峰にも遠征し、常に僕の中に山があった。山に向かい始めたころはこんなにのめり込むとは思い | ||
| もしなかったが、仕事をしていても日々の暮らしでも山が頭から離れることはなかった。いつか老いて山から離れるまでは | ||
| 何が何でも山にしがみついていこうと思ってはいた。 | ||
| 僕の夢は、山の中でのログハウス生活。そんな話をすると、うちの奥さんは「まっぴらゴメンです」・・とつれない。そう言う | ||
| のも人里はなれた地で酪農家の娘として育った奥さんが、山奥の暮らしがいかにつらいものであったか身をもって体験した | ||
| からに他ならない。奥さんの気持ちは分かるけれど、夢は消えない。ただ、その夢はなかなか近づいてはくれない。何年も | ||
| かけて自分でログハウスを組み立てた・・なんていう話はよく聞くけれど、僕にそんな気力は湧いては来ない。何かとんでも | ||
| ないきっかけがない限り・・。 | ||
| そんな思いを胸に仕舞い込んでいたある日、「斜里岳の山小屋・清岳荘・の管理人募集」・・の話を聞いた。「自分のログ | ||
| ハウスを建てるよりも、手っ取り早いか」・・その話に飛びついた。面接を受けて帰宅すると小屋を管理する観光協会の方か | ||
| らお電話があり、「お願いできますか?」・・・・と。僕は一つ返事で応諾した。 | ||
| 「清岳荘」は今はプレハブ造りの山小屋。その昔、一部に丸木を使った古い小屋は冬を中心によく利用した。隙間風がビュ | ||
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| それ以後、プレハブ式の味気ない山小屋が続いている。だが、来年は小屋裏の西尾根の末端に新しい小屋が誕生する。今 | ||
| 年中に新しい小屋が建設されるという。既に新小屋に通じる取り付け道路と駐車場が整備され、清里の平野を見下ろす見 | ||
| 晴らしのいい場所だ。 | ||
| 今年も例年通り、6月の最終日曜日が斜里岳の山開き。今年は27日だ。山開きを前にすでに泊まり客の予約が舞い込ん | ||
| でいる。この山は言わずと知れた日本百名山の一つ。僕にとってもお気に入りの山だ。麓から眺めても、登ってみても楽し | ||
| い山だ。この秀峰に全国各地から登山者が訪れる。昨年は登山者名簿から約8千人の登山者訪れたそうだが、未記入者を | ||
| 含めると1万人はゆうに超えているだろう。「訪れる登山者とよきコミュニケーションを図りたい」・・が僕の管理人としての目標 | ||
| である。 | ||
| 6月から清里町通いが始まったが、実際に小屋泊まりとなるのは中旬ころからになりそう。小屋開設期間の6月から10月 | ||
| までは小屋から離れることはできない。この間すべて自炊生活だ。ウチの奥さんとはもちろん別居生活を強いられる。奥さ | ||
| んも幼稚園園長として忙しい毎日をおくっているから、僕に目を向けている暇なんかはない。「アナタの好きなようにしたらい | ||
| い」・・そう言ってくれるのがうれしい。念願?の山小屋暮らし・・・そんな人生を送るのももいいかなと思っている。ただ、もう夏 | ||
| 山に行けないのが心残りである。道内に数ある山の多くに自分の足跡を刻んでいない。今夏も沢や未踏の山に行く計画を | ||
| 練っていた。計画は雲散霧消してしまったが、その代わり積雪期はたっぷり時間がある。家庭内の仕事もあるから山三昧と | ||
| はいかないが、夏に行けない分冬は思いっきり楽しもうと思っている。 |